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「新型コロナウィルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」が4つの学術団体から合同で出されました。
(1)屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。
日本救急医学会の2015年データによると熱中症が最も多く発生した場所は室内でした。夏場は、室内の温度が外の気温以上に高くなることがあり、エアコンによる室温の管理が重要です。一方、COVID-19の予防対策においてはいわゆる3密と言われる環境を避け、屋内の滞在時では「部屋の窓を風の流れができるように、毎時2回以上は開放し、環境確保すること」が推奨されています。ここで大事なことはほとんどの家庭用エアコンは空気を循環させるだけで、換気機能がないという点です。したがって、COVID-19予防のためには、適宜窓を開け、風通しをよくする、また扇風機を用いて換気を促すなどの対策が重要です。
(2)マスク着用により、身体に負担がかかりますので、適宜マスクをはずして休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので、マスクを外す際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境などに十分に注意を払ってください。また口渇感によらず頻回に水分も摂取しましょう。
現在までのところ、マスクをつけて運動しているから必ず熱中症になりやすいとは言えませんが、心拍数、呼吸数、二酸化炭素、体感温度の上昇から、マスクをつけることで体に負担がかかると考えられます。脱水のリスクが高い小児や高齢者ではささいな体調変化も見逃さず、塩分を含む経口補水液を頻回に摂取しましょう。なお、2歳未満の小児へのマスクの使用は体に負担をかけることがあるため使用しないようにしましょう。
(3)体が暑さに慣れていない時期が危険です。フィジカルディスタンシングに注意しつつ、室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。
毎年、気温が暑くなり始める時期、体が慣れきっていない時期に熱中症の発症が増加します。すなわち梅雨の合間に突然気温が上がった日や、梅雨明け後の蒸し暑い日によく起こります。暑さに対する体の慣れは軽い運動(ウォーキングなど)により汗をかくことで得られやすいと言われています。しかし、今年は新型コロナウィルス感染症の流行に伴う外出制限により、在宅時間が長くなり、多くの人が十分な運動ができていない状況にあります。そのため、身体は暑さに対する慣れが遅れてしまし、その結果、熱中症の発症率が高くなる可能性があります。まずは、自宅の中で活動量や運動量を増やしてください。そして屋外での運動も、咳や発熱の症状がないことを確認したうえで、3密を避け、物理的距離を保ったうえで軽い運動を取り入れていきましょう。
(4)熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、頻繁に連絡を取り合いましょう。
新型コロナウィルス感染症対策において、物理的距離をとる(目安2m)ことは大事ですが、これまで以上に家族などの大事な人との社会的な距離を密接にすることが重要です。
(5)日頃の体調管理を行い、観察記録をつけておきましょう。おかしいなと思ったら、地域の「帰国者・接触者相談センター」や最寄りの医療機関に連絡・相談をしましょう。